司馬遼太郎先生の『昭和という国家』を
涙ながらに読み終えました。
(It is hard to translate into English)
誤解無く書きたいので、イイ本の感想はいつも長くなります。
内容は、氏の出演するNHKのドキュメント映像作品を、活字化したものです。
昭和初期(20年まで)を、12の章に分けて書いてあります。
氏の描く昭和はかなり辛辣で、日本を呪いたくなるような時もあります。
僕のおじいちゃんおばあちゃんが、青春として生きていた時代なので
理屈としては理解していたつもりですが、やはり辛いです。
作品の中には、たくさんの名文がちりばめられています。
戦後、高度経済成長期を経、偏差値という絶対的なモノに
人間の多様性(個性でもオケ)が失われつつある
今の日本の状況を憂い想われたのでしょう。
戦前日本は、アジアや他の国に対して、大変な事をしてきました。
そんな日本人が生きていく為には、
「お前はこんな自己をもっているんだ
オレの周りには、こんな面白い多様性をもっている人がいるんだ」と
相手の事(国)を理解して、相手の痛みを自分の事のように感じる心が必要だと。
真心です。
日本人が好きな言葉、真心。
貴方達が大好きな江戸時代の侍は、この真心をもってました。
(江戸時代には多種多様な文化が満ちあふれていた)
これは、日本人の中に共通してある美徳です。
そういう人がたくさん出てくる以外に、日本人が生きていく方法はないと。
それが無い社会からは何も生まれない。
個人も、国も、集団も、発生する現象としては一緒です。
強くも、優しい救われる言葉だと感じました。
くだけて言うと
ギスギスするな馬鹿タレ、貧乏くじ引いても良いやろうが。
何か生み出そうとしとるんやったら尚の事たい、ということです。
最後に、作品中に最も残った言葉です。
この本が創刊されたときまだ10代だった僕たちに
「つぎの時代を担う若い人びとに、ぜひ読んでいただきたいと思う」と。