結構前に読み終わったんですが
感想を書き忘れていたんで書きます。
とにかく、深く面白い作品でした。
主人公は、村田蔵六(大村益次郎)です。
華もなく、好色でもなく、無愛想で、機械みたいな人間です。
時は幕末、蔵六は長州の村医の家に生まれます。
そして、時勢は蔵六を長州の軍部総司令に任命します。
機械のように、書物を読んでは農民を兵隊に作り変えていきます。
そんな情緒の無い主人公に、華をもたらしたのは
青い目(シーボルトの娘)のおイネという女性です。
おイネさんとの恋愛描写も、とても美しく
蔵六の愛情表現と、それを受け入れるイネの描写が
花のように美しいです。
蔵六との距離を医学の勉強に没頭することで埋めようとするイネ…
軍部総司令官に任命され、死を覚悟する蔵六…
そして別れの時…
『花神』というタイトルの意味がわかる時に
この上ない切なさと爽快感に、襲われます。
ちなみに、性描写の多い司馬遼太郎先生の作品ですが
『花神』はかなり少ない作品でした。
recommendというか"MUST"って感じの名作です。