遂に終わってしまいました。
西南戦争、武士の世、は終わり
本当の意味での明治維新がここで成立しました。
薩摩武士達が次々に己の生涯を終えるさまは
史実としてそうだとしても
死ぬな、死ぬなー!!と何度も叫びたくなります。
語弊がカナリありますが、画になる死に方です。
切なさでとても胸が苦しくなります。
桐野のそれは特に象徴的で
塁の上に立ち弾雨に身をさらして、自分が死ぬまで打ち続けるというのは
彼が薩摩美学のままに育ったのを象徴しています。
この異常な戦いぶりは
意識的に何かを形而上化しようとし
武士時代の最後を昇華してやろうとしているようでした。
薩摩が落ちたことを聞いた、大久保ら新政府側の薩摩人は
精神的に異常をきたしていきます。
自分の友を殺してしまったという事実は
自分の行動を正当化する以外に
精神を守る手段がないほど、自責の念は大きかったようです。
とにかく薩摩に始まり薩摩に終わった全10巻でした。
あとがきにこうあります。
この作品の主人公は"西郷という虚像"です。
それを恐れるモノ、かつぐモノ、希望を託すもの
これらが繰り広げる人間現象を描いています
と
全ての人には薦められませんが
司馬遼太郎先生のドライな俯瞰視点に脱帽したい方は
是非読むべきだと思います。