May 12, 2011

【読書】アメリカ素描

米についての知識があまり無い為に
司馬氏著の中ではとても読むのに苦労したタイトルの1つです。

氏が、40日間の米旅行を経て
感じた事、出会った人から得た事を
自身のフィルターを通して描いてあります。

以下感想。(長いです)

幼稚な事に、僕は今まで米を世界の文化の発信の国、資本主義
ドルの国、肉をたくさん食べる国、位とでしか認識していませんでした。

米には何回か行った事がありますし
友人もいますが翻ってみると、間違っていない!と
自信をもって言えるのは、情けなくもこの程度です。

LA,NY
資本主義
人種と差別

アメリカ的善意のもたらす凶暴性や
便利さを追求する弊害である、孤独の問題
それらがシトドに、書いてあります。

作中よく出てくる大切なキーワード
"文化"と"文明"
日本(古き良き)と米をこのキーワードで論じていました。

田舎の3年、京の3日
という諺があります。

田舎とは一つの"文化"で個々の独創性を
縛っている社会の事を言います。
この場合は日本をさします。
"文明"とは、普遍性があって便利で快適なものを生み出す事を言います。

日本の都市部でも"文明"(米の生み出した)はよく見られます。
しかし、人間は"文明"だけでは生きられません。

"文明"には安定がありません。
田舎には、不便であっても1種類の"文化"による安定があります。
そういうことが書かれています。

僕の知る日本人も、当てはまるタイプの人を良く見かけます。
ただ何となく、適当に便利なモノ(金)に付随して行きている人
多分、同じように苦しんでいます。

念のために書いておきますが
今の日米に文化が無いと行っている訳ではないです。
あくまで、表面的なメタファーです。

日本人を含む、"文明"で満たされすぎた人たちは
"文明"で疲れた精神を癒そうと、"文化"を探しているのでしょう。

"安心"と行った感情は
深い部分において、"文化"が起点になっている気がします。
価値観とも言い換えることができます。

自分の学生時代を思い出すとよくわかります。
すぐに、似た者同士が集まり、笑い合える。

氏は、日本の事を田舎とし、米(京)に行っている40日間
脳細胞が絶え間なく刺激され続けたそうです。
学習後に良くある、心地よい疲労の事でしょう。

僕は差し当たって、米にまた行きたいと思っています。
冒険心と、知的好奇心以外からもそう感じています。

"文化"という縛りの無い社会から生まれたサブカルチャー?
資本主義のように不安定な"文明"?
まあ行く時はとっちらかす目的一辺倒か。。

その時は、大きな米を前にしても流れない
自己を内に堅く持つことが大切になってきます。
それが、"文化"をもつ、精神の"帰る場所がある"という事です。

全体にいえる事は、個にもいえます。
それぞれ、自己を確立して多様な"文化"を持てば
それほどすばらしい事はないと、合わせて感じました。

...
氏の観察力と表現力に"安心"し
その上、美意識に少し酔っているのかもしれません。
酔いたい人は是非。。